地獄極楽六道図絵解き [254回 H29/2/23]
講師:磯田 浩一 師
講師プロフィール:曹洞宗 慶昌院住職
大本山總持寺にて修行の後、二輪教習所インストラクター、フランス料理コック、学習塾講師を経て、慶昌院住職就任
「津軽三味線 小山会」に所属し、演奏活動をしている。
世界遺産和歌山県の「熊野速玉大社」の上野宮司と親交があり、「熊野歓心十界曼荼羅絵解き」の活動に関して後押ししていただき、地獄絵の絵解き話しをしている。

-------------
<講演録>
皆様こんにちは。静岡県富士市の慶昌院の住職をしております磯田浩一と申します。本日は六道図(りくどうず)一般的には「ろくどうず」の絵解きをさせていただきたいと思います。本来絵解きは、掛け軸を掛けまして指さしながら解いていくわけでございますけれども、今日は、スクリーンを使って地獄極楽六道図の絵解きを始めたいと思います。
これからお話する地獄極楽六道の一番元になっているのは、恵心僧都源信という天台宗のお坊さんが平安時代に記された往生要集という本です。一心に念仏を行ずるしか極楽往生の方法はないと説き、そのためにはどのようなことをしたら良いのか、どのようにしたらいけないかというようなことを地獄と極楽という世界を説明しながら説いた本です。それに基づいて掛け軸が描かれ、現存するものが何十種類とあります。熊野三山に本宮大社、速玉(はやたま)大社、那智大社とありますが、そのなかで特に有名なところでは、熊野観心十界曼荼羅(くまのかんじんじっかいまんだら)という曼荼羅があります。これは六道に四つの世界を加えて十界となります。熊野比丘尼という女のお坊さんがこの掛け軸を持って全国を行脚しました。主に戦国時代から江戸時代にかけて盛んに行われたようでございます。その目的は、布教ではありますが、例えば熊野の神社の建物を直すお金を集めたり、自分たちの生業のためであったり、その勧進をするために歩き回りました。絵解きをして、「こうしていると極楽に行けますよ、こういうことをすると地獄に行きますよ」というようなことを説きながら、全国を行脚するわけです。それと同時に、熊野には牛王符(ごおうふ)という有名な護符がございます。八咫烏(やたがらす)の故事にちなんでカラス文字で書かれていて「おからすさん」とも言うようです。これも持ってまわった。本宮・那智の護符は、「熊野山宝印という字になっております。昔はこれの裏に誓約書を書いたりもしたようです・・・・
(2017/2/23「いのちを見つめる集い」より)

〈講演内容の公開はここまでです。講演録『みちしるべ』は会員の皆様にお送りしています。〉

RETURN