寺院における介護者支援活動 [269回 H30/12/13]
講師:下村 達郎 師
講師プロフィール:浄土宗 香念寺 住職
1982年生まれ。
東京大学医学部健康科学看護学科卒業
2007年に香念寺住職に就任
2016年より、2ヶ月に一度、香念寺
において『介護者の心のやすらぎカフ
ェ』を開催し、介護者同士が悩みを語る
場を提供している。

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<講演録>
皆様、こんにちは。本日は冷たい風の吹く中お越しいただきまして本当にありがたいことと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は下村達郎と申します。葛飾区亀有の住宅街にある香念寺(こうねんじ)というお寺で住職を勤めております。本日は自坊において行っている介護者支援活動についてお話させていただきます。香念寺では『介護者の心のやすらぎカフェ』という名前で『介護者カフェ』を開催しております。そこでは、皆さんの介護についての思いや悩みなどをお話し合うのですが、そうした場を二年ほど前から設けております。
この『介護者カフェ』という名前を聞いたことがある方、よろしければ挙手していただけますか。だいたい半分強ぐらいの方にお手を挙げていただきました。ありがとうございます。
介護をしていますと、日々介護をする側とされる側、それはご家族同士のことが多いですが、その関係にばかり気持ちが向けられてしまいまして、自分の気持ちを抱え込み、孤立してしまう傾向にあります。
『介護者カフェ』は、介護をテーマにした話し合いの場を提供する活動です。普段思っていることを話して他の方に聴いてもらったり、逆に他の方の介護の様子をお聴きすることで、「ああ、自分だけじゃないんだな」と思ったりして安心を感じていただきます。外との繋がりを感じることで、気持ちを軽くしていただければということを願って行っております。
『介護者カフェ』と名前がついていますが、お店を出すわけではなく、定期的に決まった時間に場を設けて、座談会を行う会です。また、介護中の方でなくてもご参加いただくことができます。将来の両親の介護が心配に思っている方や、過去の介護経験への思いを話したい方など、どなたでも構いません。参加された方から、「介護の話は明るい話題ではないから友人にも話しづらくて」というお言葉をいただくことがあります。普段は負い目を感じてしまう話題を『介護者カフェ』では話すことができること、他の方と共有することで心が軽くなることに加え、さらにはそのお話が他の方にとっては、「自分だけじゃないんだ」という心の支えや、何らかの学び・気づきとなることもあります。ご自身の介護にまつわる話をすることが他の方への貢献になる、他の方の役に立つことは、介護者の方が自信や自尊心を取り戻すきっかけとなるように感じまして、『介護者カフェ』の場の一つの大きな特徴のように思います。・・・・
(2019/12/13「いのちを見つめる集い」より)

〈講演内容の公開はここまでです。講演録『みちしるべ』は会員の皆様にお送りしています。〉

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